レインボーカラー年賀状を制作しよう
〜フォトショップによる年賀状の画像処理〜
茨城県立鉾田第二高等学校教諭 小林千早
一、はじめに
  くらしに活かせる書として、あるいは漢字仮名交じりの書として、年賀状を書く授業を実施することは多いと思います。私の授業でも、実際に年賀状を投函する時期に間に合う十一月から十二月に取り上げています。授業の作品であると同時に、例え一枚でもいいから宛名を書いて実際に使用してほしいという気持ちがあります。
  しかし実情を生徒に確認してみたところ、実際には使用しない生徒がほとんどでした。理由の多くは、賀正等とあでやかに印刷された市販の筆文字年賀状と比べてしまうと、地味で見劣りがするし、元々うまくないからというものでした。
  自筆筆文字年賀状の良さを指導しても現実にその年賀状を使う生徒は少ないなら、

図版01_1元画像 図版01_1元画像
一つの試みとして、生徒が筆で書いた年賀状を本人がパソコン画像処理をして実際に使える、使いたくなる年賀状を作成することにしました。生徒の言葉を借りて言うなら、「売っている年賀状に負けない」「下手でもかわいらしく見える」自分だけの年賀状を制作していきます。
  年賀状そのものの指導については、目新しいものはないので省略し、パソコンによる画像処理の具体的方法を紹介します。
二、画像処理の具体的方法

 本校パソコン教室の画像処理ソフトは、フォトショップCS3です。ここではこのソフトを使いますが、他のフォトレタッチソフトでも操作はほとんど同じです。また、本校は総合学科で多くの選択科目があり、情報でのパソコン画像処理関係の授業を履修することもできるので、初歩の画像処理は経験している生徒もおります。

@まずははがきの大きさの用紙に書かせた年賀状をスキャンします。スキャナーの設定はメーカーによって表現が異なりますが、その内容は解像度300dpi、カラーモードはグレースケール8ビットです。デジカメの利用は、今回は考えていません。

Aトリミングして、はがき以外の上下左右の余白を削除します。
シワがある場合はヒストグラムを調整してシワを飛ばします。この「シワ飛ばし」操作については、全高書研鹿児島大会研究集録に拙文を記載していただきましたのでそちらをご覧ください。

B色を増色しておきます。イメージ→モードRGBカラーと進み増色します。CMYKカラーが本当は良いのでしょうし、カラースペースも考慮すべきでしょうが、今回の画像処理では無視します。

Cここからいよいよレイヤーオプションで、文字部分を加工します。
まずは、墨の黒色のみを範囲選択します。
選択範囲→色域指定→選択の中のシャドウ→OKと進みます。

※シャドウで選択する画面→
経験上、許容量を100〜200とするときれいに仕上がる。

D編集→コピーと進み、さらに、編集→ペーストです。すると、新しい「レイヤー1」に、黒色部分のみペーストされます。

E画面右下のレイヤー1→レイヤースタイル→グラデーションオーバーレイにチェックを入れ、Wクリックします。
すると、グラデーションのパターンが表示される→(慣れてきたら、グラデーションエディターをWクリックで表示させ、変更させることができる。)好みのパターンを選択、角度も好みにより変更できます。


↑レイヤー1から、グラデーションオーバーレイへと進む。



↑好みのパターンを選ぶ。


F筆文字の内側のエッジを強調します。
レイヤースタイルのシャドウ(内側)を選択→角度・距離・サイズ等を好みにより変更します。
G筆文字に影をつける
レイヤースタイルのドロップシャドウを選択→角度・距離・サイズ等を変更します。慣れると、影そのものにも色を加えることができます。文字部分に影を付け、空中に浮いているように見せるテクニックは、数年前まではプロのテクニックでしたが、今では高校生でもできる技術となりました。

H背景も変更できる。
背景のレイヤーと、グラデーション1のレイヤーの間に、塗りつぶしレイヤーを追加する。デフォルトでは白色ですが、好みの色でかまいません。
塗りつぶしレイヤー「べた塗り」のレイヤー上で右クリック→レイヤー効果をクリック→レイヤースタイルを表示させる
テクスチャをクリック→エレメントの中の好みのパターンをクリック→比率・深さを調整と進みます。

↑背景を加工する操作画面。
プレビュー画面で効果を確認しながら作業を進めることができます。
I完成・印刷
あとは、プリンターで印刷すれば完成です。生徒の家庭でのプリントを考慮し、つまり、フォトショップがない場合も考え、レイヤーを統合しjpegまたはbmpで保存すれば安心です。なお、背景に模様や色を加えたり、活字と組み合わせたり、様々な加工が可能です。

三、最後に
 授業での年賀状は、技術や感性をを磨き工夫し毛筆のみで書き上げることが肝要ではあると思います。しかしここでは、実生活から離れつつある書を身近なステージに引き寄せる方法の試みとしてパソコンを利用しました。これが本当に良いことなのかどうかまだ結論を出しかねております。この授業は書道Vで実施、平成二三年度でまだ二年しか実施しておりません。この二年は画像補整の方法を生徒に指導しただけに終わりましたが、これからの課題としては、何を用いて、何を表現したいのか、どのような年賀状にしたいのか目的意識を高め、それに応じた指導を工夫したいと思います。




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