手紙文と竹ペン絵の指導
福島県立喜多方東高等学校教諭 樋口 丈治
 ある新聞調査によると、改まった形式の手紙が書ける二十代の若者は、二割か三割以下であるという。もちろんこの中には、大学教育を受けている者も含まれている。
 手紙、はがきは、書道教育の中では「生活書」として重要な指導項目である。そこで、二年生の三学期に、生活書の中の「実用書」として、手紙を取り上げることにした。
本校の概況
 七百人規模の男女共学、飯豊山の麓、蔵と酒と水とラーメンで人気の喜多方市内にある高校である。生徒たちは明るく、部活動が活発、清掃が大好きで校舎はいつもきれいである。進学と就職は半々ぐらいである。
 芸術は、音楽・美術・書道から選択、それぞれ三分の一ぐらいの人数。書道氓ゥら。まで開講している。
 授業で工夫しているところは、生徒がいかに興味を持って取り組むか、書って面白いなと感じてもらうということに尽きる。選択といえど皆が興味を持っているわけではないゆえに、工夫がある。
 手紙は意志を伝達するためのものであるが、現代はその方法が変わった。インターネットやメールは確かにすごい革命であるが、これで全てが解決ではない。書は心画なりといい、デジタル文字にはない心という世界を抱えている。そこで、メールではなく、手紙を書こうというのが今回の視点である。
 さらに、今の生徒はもちろん、大学を出た者ですら満足な手紙が書けない現状であるから、決まった表現を覚えさせ、同時に絵を添えて楽しめるような手紙にしたいと考えた。 
 今、絵手紙が流行しているが、改まった言い方を知り、社会に出た時に恥をかかないためにも指導したいと考える。
 土台、書は日常生活の中で生きるものであるから、手紙、はがきがきちんと書けることは、書の目標でもある。大きな展覧会に入賞したといっても、手紙やはがきを見ると信じられないほど下手な人は山ほどいる。
 ここでは、教育であるし、また、高校生として基本的なことができるようになればよい。
指導の順序
1.鑑賞から入る。先人の手紙を見る。
2.書き出し、時候のあいさつ、本文、結びという形式で書かれた手紙を写してみる。これを何度かくり返し、書き方の要領を覚えさせる。
3.内容を変えて、自分に合ったもので文章を考えさせる。

4.絵の書き方を指導する。絵は竹ペン(小筆のキャップを縦半分にして削る。図参照。)アウトラインを書き、乾いたら顔彩で着色する。
5.顔彩の塗り方は、書と同じく一回性を重んじて着色する。油絵のように同じ所を何度も塗らない。色は混ぜてよい。
 手紙は、書をかなり物にしないと書けないが、書かないでは上達しない。生徒はまだまだであるが、書いているうちにうまくなるであろう。

筆のサヤから二本の竹ペンをつくる。
筆先の角度で細多をつける。
 今回は、半切を裁断したものを使用して巻き手紙の形式で書いた。古典的な感じではあるが、構成に流れを持たせるにはいい書式である。
書画一致の視点
 書にはいろいろな分野があるが、絵も入れてよいのではないかと考えている。もちろん基本は書の線で書くことが条件である。
 幸い、東洋には顔彩という優れた着色料があるので、大いに利用したいものである。筆は書の筆で書くので問題はない。今回は竹のペンを制作し使用したが、なかなかいい線がでる。この他に、木を削り筆にしたものもおもしろい線がでる。要は、ペン先のように墨を付けながら使うので、少し墨が溜まればよいのである。



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