“正解”のない答えを家庭科を通して学ぶ 〜ウェルビーイングドリル 監修者インタビュー〜

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発行累計20万部を突破した「おとなドリル」の新シリーズが完成!

テーマは「ウェルビーイング」で、第4期教育振興基本計画の中にも重要なコンセプトとして盛り込まれ、世間でも耳にすることが増えてきた言葉です。

家庭科を通して、ウェルビーイングを学びながら、ライフデザイン(生活設計)することができる本教材。

監修者の女子栄養大学教授・井元りえ先生に、見どころや活用法をお伺いしました。

今、世間でウェルビーイングが注目されている理由

ー最近、ウェルビーイングという言葉をよく聞きます。ウェルビーイングとはなんでしょうか?

ウェルビーイングとは、身体的・精神的・社会的に良い状態にあることをいい、短期的な幸福のみならず、生きがいや人生の意義などの将来にわたる持続的な幸福を含む概念です。多様な人々がそれぞれ幸せや生きがいを感じるとともに、人を取り巻く場や地域、社会が幸せや豊かさを感じられる良い状態にあることも含みます。

ーどのような背景があり、なぜ今、注目されているのでしょうか。

この言葉は1946年の世界保健機関(WHO)の憲章の前文で用いられ、家政学などにおいて多くの研究がなされてきました。近年、先進諸国において、GDPに代表される経済的な豊かさだけでなく、精神的な豊かさや健康までを含めて幸福や生きがいを捉える考え方が重視されてきていることから、注目されるようになってきました。

OECD(経済協力開発機構)の「Learning Compass2030(学びの羅針盤2030)」では、個人と社会のウェルビーイングは「私たちが望む未来(Future We Want)」であり、社会のウェルビーイングが共通の「目的地」とされています。

>>OECD「Learning Compass2030(学びの羅針盤2030)」

家庭科とウェルビーイングの関係

ー家庭科とウェルビーイングは具体的にどのようにつながるのか教えてください。

家庭科では、人の生涯にわたる発達と生活の営みを総合的に捉え、家族・家庭、衣食住、消費や環境などについて科学的に考え、主体的に生活を創造していく力を身につけることを目指しています。この「総合的」とは、ウェルビーイングの視座で捉えることだとも言えます。

家庭科において、生徒は、現在の自分のウェルビーイングについて考えるとともに、自分の周りの家族、地域、世界の状況が自分のウェルビーイングにどう関わっているかを考えます。さらに、生徒は、人の生涯についての家庭科の学びの中で、社会の様々な年代の人々の暮らしとそれに関わる制度などについて学び、社会のウェルビーイングについて考えます。それに加えて、将来の自分の生活や社会について想像し、未来のウェルビーイングについて考えます。

ウェルビーイングドリルのコンセプトと構成

ー「ウェルビーイングドリル」はどのようなコンセプトで作られたのですか?

本教材は、ウェルビーイングの意味を理解し、日々の生活をふり返り、よりよい暮らし、よりよい生き方を考え、生活設計できるようになることを目標としています。

各章では、フクロウの「ウェル」さんとウサギの「ビー」さんが、「多面的(さまざまな要素で考える)」および、「持続的(長い一生を通して考える)」な視点で、ウェルビーイングを考えよう!と呼びかけています。

ーどのような構成で、ドリルを通してどのような力が身につくでしょうか。

第1章でウェルビーイングとは何かを理解した後、第2章から第5章で健康(衣食住)、働き方、お金、家族・人間関係の4つの項目でウェルビーイングについて考え、それらを基に第6章において生活設計(ライフデザイン)を立てます。

「正解のないドリル」で、全員に共通の正解はないからこそ、自分自身でよく考え、将来のプランを立てる力を身につけることができるでしょう。

授業での活用方法

ー具体的にドリルをどのように活用していけばいいか教えてください。

◎ 家庭科授業の復習として活用
家庭科の各領域と内容がリンクしているので(健康、働き方、お金、家族・人間関係)、各領域の授業のまとめや復習として、ウェルビーイングの視点で学習内容をふり返ることができます。また、家庭科授業全体の最後に取り組んでも良いでしょう。

ウェルビーイングドリル

◎ 生活設計のツールとして活用
最後の章には、ライフデザインシートがあるため、自身の価値観をふり返り、ウェルビーイングを意識しながら生活設計することができます。

ウェルビーイングドリル

◎ 進路指導や探究活動の資料として活用
自身の進路選択やキャリアプランを考える際に、自分らしい生き方をウェルビーイングの視点から考える資料として役立ちます。また、多様な価値観を意識して他者や社会に目を向けることにもつながります。

指導のポイントと注意点

ーこのドリルを通じて、生徒にどのようなことを身につけてほしいですか?

自分の生活は、①多くの人との関係で成り立っていること、②社会の仕組み(法律や政策)で規律が守られていること、③科学技術の進歩によって日々変化していること、④国際的な動向によって影響を受けていること、など多くの視野で捉えられるようになってほしいと思います。

ー指導する際のポイントや注意点を教えてください。

自分のウェルビーイングを向上させ、将来豊かに生きるためには、①どのように周りの人と関われば良いのか、②どのような制度を利用すれば良いのか、③どのような科学技術を使えば良いのか、④どのような行動が国際的な平和に結びつくのか、など、今自分ができることを考えさせると良いと思います。

ウェルビーイングドリル
ウェルビーイングドリル

現場の先生へのメッセージ

ー最後に、家庭科の先生にメッセージやアドバイスをお願いします。

家庭科において自分のウェルビーイングについて考える機会を持つことによって、生徒が、自分の健康や気持ちを安定させ、友達の多様性を理解したり、社会参加への意識を深めたりすることができるようになります。また、卒業後の進路についても主体的に考えることができるようになるようにご指導をお願いいたします。

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>>おとなドリルシリーズ⑦「ライフデザインしてみよう!ウェルビーイングドリル」商品紹介ページ

井元りえ(女子栄養大学教授)Rie IMOTO

1981年共立女子大学卒業、1983年ミシガン州立大学大学院Human Ecology研究科Human Environment & Design専攻修士課程修了Master of Arts取得、2000年東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科博士課程単位修得満期退学、2001年博士(教育学)取得。福岡工業大学社会環境学部助教授、准教授、教授を経て、2010年より女子栄養大学教授、現在に至る。
[専門分野]持続可能な開発のための教育(ESD)

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