三角屋根
三角屋根は従来,北海道で見られる独特な形状でしたが,近年都市化が進み,隣地への落雪を避ける配慮や,除雪作業に伴う屋根からの転落事故などを防ぐために,無落雪屋根が主流になってきています。
南部曲り屋
南部曲屋とは,旧南部藩の領内の盛岡市周辺や遠野盆地に多く見られ,寒冷な気候での馬の飼育環境をよくするものとして,江戸時代中期に工夫された形式だとされています。
雁木造り
雁木とは,鳥の雁(ガン)の群れが斜めに並んで飛ぶ様子に似ていることからこの名前がつきました。日本海側の豪雪地帯において,積雪期でも通りを通行できるように江戸時代から整備されたものです。
集合住宅
集合住宅とは,一棟の建物が複数の独立した住戸から構成される形態の住宅です。外見は地域性が薄いデザインですが,住宅部材に地域の気候に合わせた断熱性・気密性を持たせるということが行われています。
合掌造り
白川郷の合掌造りは,屋根の両端が本を開いて立てたように三角形になっているのが特徴で,「切妻合掌造り」といわれています。これは積雪が多く雪質が重いという白川の自然条件に適合した構造になっています。
舟屋
京都府与謝郡伊根町の伝統的な民家の形態です。波の静かな伊根湾で漁業を営む人たちの生活の場として造られた独特の建築様式で,1階の床を海側に傾斜させ,海面すれすれに建築されているため,船を海から直接引き上げることができます。
築地松
出雲平野は,島根県東部に位置し,冬季は日本海からの強い北西季節風が吹き抜ける地域です。築地松は,屋敷の西側と北側に植えられて,冬の季節風の防止になっています。
竹原格子
竹原格子とは,機能的には採光の調整や外部からの目隠しを目的とした町家の窓の外面に施された格子状の部材で,この地区の町家ごとに意匠的なこだわりがあり,変化に富んだ独特のデザインになっています。
うだつ
江戸時代の民家において隣家との境界に設けられた小屋根付きの土造りの袖壁のことです。機能的には火災時の延焼を防ぐ目的の防火壁ですが,設置に多額の費用がかかるため,徐々に装飾の意味合いが強くなり,富の象徴になりました。
石垣
石垣は,住宅を安全に支える役割だけでなく,台風や強い季節風や潮害から住まいや生活を守るために築かれたものです。独特の景観を形成しており,「日本の美しいむら農林水産大臣賞」などを受賞しています。
くど造り
「くど」は竈のことを指し,建物を上から見るとコの字形になっており,屋根全体が竈のように見えるため「くど造り」と呼ばれています。台風や強い季節風を防御するための形状と言われ,主に麦わらでふかれています。
石塀
ヒンプン(衝立のような目隠し塀)は,通風のために開放的につくられた家の中を外から隠すと同時に,風をうまく庭の中に入れる役目もあります。沖縄の住宅は高温多湿の風土に適応した造りになっています。