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応援コラム NEWS

【応援コラム・家庭分野】どうすれば「少子化」を止められる?

2024年6月5日の厚生労働省の発表(概数)によると、2023年、出生数は「72万7277人」、合計特殊出生率は「1.20」で、いずれも統計開始以来、最低の数値となりました。

日本では、合計特殊出生率が「2.07」未満になると人口が減少に向かうといわれていますが、近年は減少傾向にあり、少子化が急速に進んでいます。他国の状況とともに見てみましょう。

参考:令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai23/index.html

日本の少子化の背景には、晩婚化・非婚化、子育てに重い負担がかかるなど、さまざまな要因があると考えられています。
また、男性の長時間労働や育児休業の取りづらさなどから、子どもをもつことに不安を感じる家庭が多いという課題もあります。
少子化は社会そのものの存続に深刻な影響を与えることから、「2030年までが少子化の傾向を反転させるラストチャンス」として、さまざまな施策がとられてきました。

2024年6月5日に「子ども・子育て支援法」などの改正案が国会で可決され、少子化問題の解決に向けて、おもに以下の点が盛り込まれました。

  • ・児童手当を受け取るための所得制限の上限を撤廃し、対象を「15歳到達後の最初の年度末まで」から「18歳到達後の最初の年度末まで」に延長。
  • ・ひとり親世帯の児童扶養手当について、子3人以上の世帯に、加算部分の支給額を増額。
  • ・妊娠・出産時に10万円相当を給付。
  • ・子どもが1歳になるまでの、親の国民年金保険料を免除。
  • ・親が働いていなくても、3歳未満の子どもを預けられる「こども誰でも通園制度」を創設。
  • ・育児休業を両親ともに14日以上取得すれば、最長28日間、育児休業給付を拡充。
  • ・2歳未満の子どもの親が時短勤務をする場合、賃金の10%を支給。

この改正法は、子育て世帯の経済的負担の軽減や、父親の育児参画など、子育てしやすい社会の実現に向けた具体的な施策を推進するための一歩といえます。

一方で、少子化のもう一つの大きな要因である、若者の非婚化への対策も求められています。

参考:「支援金制度」 子ども・子育て支援法などの改正法 成立(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240605/k10014471641000.html

それでは、今の中高生は、結婚や子どもについてどのような意識をもっているでしょうか。
2023年の調査では、中学生の約6割が「将来結婚したい」、約5割が「子どもがほしい」と回答していました。
また、中学・高校生ともに、男子と比較して女子の方が「結婚したい」「子どもがほしい」という希望が少なくなっています。
この結果について、みなさんはどう思うでしょうか。

参考:中高生が思い描く将来についての意識調査2023(ソニー生命保険株式会社)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000282.000003638.html

中学家庭分野では、「家族・家庭の働き」や「幼児の発達・生活」などの分野で、子どもや子育てにかかわる内容を学びます。
保育施設でのふれ合い実習などは、子どもの心身の特徴を知り、子どもたちが健やかに育つ上で、家庭や地域社会などの環境の重要性に気づくきっかけとなります。
これらの気づきが、将来子どもをもつことへの希望や、子育てしやすい社会の実現につながる、そんな授業ができるといいですね。

教育図書が令和7年度より発行する、新しい中学校教科書『新 技術・家庭 家庭分野 暮らしを創造する』の69ページでは、男性保育士への職業インタビューを掲載しています。
子どもとかかわることの魅力をたっぷりと語ってくださっているので、ぜひ読んでみてください!