「刺し子の防災おまもりポーチ」ご採用校レポート
高校家庭

筑波大学附属駒場中学校・高等学校 家庭科・植村徹先生
高等学校・家庭基礎 2年生 4クラス(約160名)
筑波大学附属駒場中学校・高等学校は、東京都世田谷区にある国立の中高一貫男子校です。制服がなく、自由な校風の中で、生徒が自分の興味や思考をとことん深められる学校として有名です。
家庭科の植村徹先生には、2025年1~3月に教育図書が実施した教材「刺し子の防災おまもりポーチ」の試作・アンケートにご協力いただきました。その際に、「この教材は、うちの生徒に合っているかもしれない」とのお言葉をいただき、教材の発売と同時にご採用いただくこととなりました。
今回は2026年1~2月にかけて見学させていただいた授業の様子をご紹介いたします。
授業計画

目標
- 刺し子とポーチづくりを通して基礎縫いの技法を確認する。
- 刺し子の現代的な意味を考えながら、自助のための防災意識を高める。

▲裁縫道具は、小さなプラスチックのボックスの中に、糸切りばさみ、チャコペン、糸通し、ピンクッション(まち針、縫い針)、手縫い用糸(ファスナー付け、脇縫い用)を学校で用意。
小中学校の時から使っている道具を持参して使っている生徒もいました。
刺し子糸は、カード巻きのものを2人に1つずつ配布。予備の糸もいくつか用意しておき、色の交換は自由に行ってよいことにしていました。

▲予め机に50㎝間隔でマスキングテープを貼っておき、糸の長さをはかる際の参考に。素敵なアイディアですね!

▲初回の授業の導入の様子。植村先生は実習前に「刺し子とはなにか」「何のために製作するのか」など、授業スライドをつくって解説を補足し、生徒たちに教材の糸を丁寧に伝えてくださいました。

▲教材の解説書以外に、プリントで玉結び・玉止めの「裏技的な方法」なども提示。
製作の様子




▲ファスナー付けは、半返し縫いで縫い付ける作業よりも、まち針を打って固定する作業の方が難しかったようです。

▲生徒同士でサポートしあいながら実習を進めていました。

▲ガイドの線よりも細かい縫い目の半返し縫いをしたり、本返し縫いでオリジナリティを出したりする生徒もいました。

▲ファスナーの縫い付けをしている途中で、「また刺し子をしたくなって戻った」という生徒もいました。

▲完成!


▲解説書を参考に、図案1・2とは別の模様を刺したり、ポーチの両面に模様を刺したりする生徒もいました。
完成作品の例

生徒の声 製作の感想など(アンケートフォームより一部抜粋)
Q,あなたのポーチの「ここを頑張った!」というポイントを教えてください。
- 使っていく中でほつれたり壊れたりしないように、脇やファスナーを縫う時に細かな縫い目で頑丈に縫うようにした。
- 半返し縫い。1回目が等間隔でなかったので、2回目はがんばって等間隔を心がけた。
- しっかり2月の授業内に終わらせること。そのうえで細かく縫うところは細かく縫うこと。
- チャック付け、急いだけどめっちゃ上手くできた。
- ファスナーが引っかからないようにそこから5mm ちゃんと測ってつけたところです。
- 脇のなみ縫いの玉結び・玉留めの部分を裏側に隠した。
- 刺し子を一列縫うたびに、爪でしごいたこと。シワがよらないように気をつけた。
- 図案2を採用したところと、模様の色を黄緑とオレンジを用いてカラフルに仕上げたこと。
Q,完成した「防災お守りポーチ」をどのように活用したいですか?
- 自分は日常的に使う薬が多いため、ポーチにそれらの薬を入れて持ち運ぶことでいざという時に薬がなくて困らないようにしたい。
- 写真やハガキを入れるのにちょうど良いと思った。写真入れとかロマンチックで良さそう。
- 家宝にします。
- 実用するのは少し心許ないのでうちに飾りたい。
- 親にあげると多分喜ぶ。
- 非常時に必要なモバイルバッテリーなどを入れて、日常的に携帯したいです。
- 普段のカバンに万が一があったときの硬貨や5,000円札、笛、電池やライト等を入れられたらいいなと思っています。
植村先生からひとこと
本校では数学に関心をもつ生徒が多く、「一目刺し」の規則性や幾何学的な特性は彼らに合いそうだという感触が試作段階で得られました。実際に取り組ませると、生徒たちは一針一針進める作業に予想以上に集中して取り組んでいました。
ファスナー付けでは、最初にまち針の打ち方に戸惑う生徒が多かったですが、次の工程である「半返し縫い」で役立ったのが布に印刷された「方眼ガイド」です。ガイドがあることで針目の規則性が保ちやすく、生徒の取りかかりの不安が減ったようでした。また、教材には工程ごとの動画が付属しており、必要に応じて手元のスマートフォンなどで確認できるので、生徒が自分に最適なペースで作業を進められる点も助けになりました。
解説書を読み解きオリジナル図案に挑む生徒も現れるなど、進度差が出ても生徒が取り残されにくく、教員はつまずいている生徒の手元を見て回る余裕を確保できました。こうした教材の工夫もあって、ポーチは50分× 4コマ程度でおおむね完成しました。
完成後には「防災おまもりカード(防災チェック表)」を製作・封入させました。生徒の振り返りでは「日常的に活用したい」という声が目立ち、防災を考えるきっかけになったようです。ファスナー付けと袋縫いを含む手応えのある実習でした。時間をかけて仕上げた完成品を身近に携帯できる点も含め、次年度も扱いたい実習題材となりました。
教育図書 教材カタログ課より
「刺し子の防災おまもりポーチ」は、企画段階で先生方に試作・アンケートを行うなど、これまでになく丁寧なプロセスを経て教材化したつもりでした。しかし、実際に実習を見学してみると、「生徒が知りたいのはそこだったのか!」「解説書のあそこに、あれをもっと大きく書いておけばよかった!」などと、これまで気づかなかったことにたくさん気づかせていただきました。
この貴重な機会を生かし、今後は教材改訂の機会を設け、微調整を重ねながら長く販売していければと考えています。計4回の授業を見学させていただき、回を重ねるごとに、生徒たちが真剣に取り組んでいく様子が見られました。
慣れない作業に悪戦苦闘する様子、生徒同士で教え合う様子、時間がかかっても好きな図案を刺して楽しむ様子などが印象的でした。また、「恋愛とは・友情とは」といった関係のない話をしながら作業していたり、玉結びの練習をしながら「これは古代文明のあれに似ているよね?」などと他教科の学習に思いを馳せていたり、一人で解説書を読み込みながら黙々と手順を確認していたりする生徒の姿を見ながら、「よい時間が流れているなぁ〜」と感じました。今後、他校の先生方にも自信をもって、「この教材はとてもイイです!」とお伝えしたいと思います。
現在の「家庭基礎」の学習指導要領では、布を使ったものづくりは必須ではありませんが、先生の授業計画によってこのようなかけがえのない時間を持つことができることに改めて感動いたしました。
植村先生、貴重な機会をいただき、本当にありがとうございました。
営業担当よりひとこと
「刺し子の防災おまもりポーチ」は、「方眼印刷済み」の専用布と、刺し子専門家による「つくり方動画」で、生徒がつまづきにくい教材にしました。難しすぎず、簡単すぎないので学年全体の授業としても扱いやすい教材です。オリジナル図案や糸の色を変えるだけで個性が出るのもポイント。
せっかく作るなら、生活の中でそばに置いておけるものを――生徒自身が縫い上げた“おまもり”が、いつもの通学や学校生活をそっと支える存在になることを願っています。
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