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2015年にデジタル平面計画が誕生し、今年で10周年を迎えます。今回開発者である株式会社ディーディーエスの佐々木様に「開発背景」「開発秘話」や「今後の目標」などから、「嬉しかったこと」などもお伺いしました。
目次
Q デジタル平面計画が誕生して10年ですが、どのようにして計画シリーズは生まれたのですか?
開発を始めた当時、一般企業ではデジタル化による業務効率化が進み、家庭でも学習アプリや動画を使って定期テストや受験勉強が行われるなど、デジタルが日常的に活用されている一方で、学校現場ではその流れがまだ遅れていました。最初は漠然とでしたが、学校でもデジタル化が進んでいくだろうと強く感じていました。
資料集のようなただ見るだけのデジタル教材ではなく、生徒が知識や理解を深めながら主体的に取り組む実習教材を作りたいと思いました。そこで、「平面計画シール」という人気のあるシール教材をデジタル化したら面白いのではないかと開発が始まりました。
開発時に決めていたのは、とにかく「簡単」にするということです。導入後すぐに授業が始められるよう、シール教材と同様の使いやすさを実現しました。細かいマニュアルを読むこともなく、事前のインストールやセットアップも必要ありません。先生が生徒に操作を説明しなくても、直感的に使える教材を目指しました。
デジタル平面計画をリリースした当初より、先生方からは「デジタル平面計画のような手軽に使える食の教材がほしい」とのお声をいただいていました。そして、7年後にようやく、そのニーズに応える形で「ミルミル献立計画」として商品化することができました。
Q 開発初期の苦労はありますか?
開発当初は全部苦労でした(笑)。とにかく駆けずり回ったという感覚でした。学校現場というのはオフィスや家庭と違い、パソコンの設定一つをとっても特殊なのです。各地方自治体や教育委員会、私立だと学校ごとに違うのです。学校ごとに異なるネットワーク環境やパソコン設定により、多くの問題が発生しました。例えば、再起動するとパソコンがリセットされる設定や、ブラウザの機能が制限されているなど、学校の環境はさまざまでした。これにより、開発チームは各学校の現場を訪れ、問題を一つ一つ解決していく必要がありました。
そういった経験から、一般的に使われるアプリではなく学校現場で安心して使えるものにしなくてはという意識は強くなったと思います。自動保存機能を付けたり、データの読み込みを軽くするよう工夫したりするなど、ポリッシュアップを続けてきました。
ネットワーク環境やブラウザの制限に関する問題が変わってきたのは、コロナ禍になってからですね。
コロナ禍で1人1台のデバイス環境が整い、デジタル教材の導入が加速しました。ネットワークの問題も改善され、スムーズに授業が行えるようになりました。またその頃に、ミルミル献立計画をリリースすることができ、一気に計画シリーズの導入が進みました。
Q 改めて計画シリーズの魅力、強みを教えてください。
授業での活用に特化しており、評価まで含めて一貫して行える点です。無料の教材や他社の教材では、作成や計算で終わるものがほとんどです。計画シリーズは先生方の授業準備から評価まで、授業全体をサポートすることができるのが強みです。
また、生徒の健康を考慮した利用制限を設けています。例えば、1回の使用時間を制限し、2時間続けて使用した場合は自動的にログアウトされるようになっています。さらに、夜間の利用を制限することで、生徒の生活リズムを守る工夫もされています。
これまでに追加した機能は、全て先生からのお声がきっかけです。ただそのまま反映するのではなく、取材や議論を重ね、より授業に則した形にして開発しています。コメント機能などはまさにそうです。ある先生から「コメント付けが大変なのよね」という一言から機能が加わり、多くの先生から好評いただいています。
Q 喜ばれたこと、嬉しかったことなどがあれば教えてください。
全国の先生方からは「こういう教材を待っていた」との声が多く寄せられ、非常に嬉しいと感じています。特に、授業での使いやすさや評価のしやすさが高く評価されています。
生徒からは、自分の家の設計を通じて、親の考えに気づいたり、将来の職業に興味を持つなどの反応があり、やりがいを感じています。デジタル平面計画を使って自分の家を設計した生徒が、建築士になりたいと将来の夢を持つようになったケースもあります。また、ある先生が、生徒にアンケートを取ったとき、家庭科の授業の中で一番印象に残っているのはデジタル平面計画!と書いてくれたと教えてくれました。
ミルミル献立計画は意外と男子生徒からの人気が高く、特にスポーツに励んでいる生徒は食生活にも関心が高いようで、授業以外でも活用しているようです。
Q 今後の課題や目標を教えてください。
まずは、より多くの先生に知ってもらい、使ってもらうことです。次の目標としては、今はアプリとして「機能」を提供していますが、アプリを含めた「授業」を提供できるようにすることです。
家庭科の先生は1校に1人しかいないことが多く、他の先生がどのように授業をしているのか、それをどのように自分の授業に取り入れられるのか、などがなかなか共有できない状況にいることが多いと思います。そこを私たちが媒体となって、ベテランの先生の授業を若手の先生に届けたり、逆に若い先生の考えを中堅の先生に届けることで、さらに新たな授業に発展させ、家庭科の授業をより活発なものにできると考えています。
Q 最後にメッセージやアドバイスがあればお願いします。
是非私たちを頼っていただきたいと思います。授業準備の段階だけでなく、授業中のオンラインでのレクチャー、出前授業なども可能です。
家庭科の先生方が、少ない授業時間の中でも、良い授業をしたいという熱意を持っていることを感じ、デジタルの力で全力で先生をサポートしたいと考えています。よくデジタルを使って家庭科の授業をするイメージができないという話も聞きますが、一度授業で取り入れてもらえると、説明せずとも生徒たちがどんどん主体的に取り組んでいくことを実感していただけると思います。現在求められている授業スタイルにデジタル教材は最適なのです。今後も、先生方と共に進化し続けることを目指しています。とことんサポートしますので是非頼ってください。
佐々木様ありがとうございました!
デジタル平面計画
ミルミル献立計画