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本記事は、神奈川県・横浜市にある公文国際学園の生徒であり、「タブーを超え、面白くクリエイティブに」をモットーに、性教育の授業や講演などを行うボランティア団体「セクテル」のメンバーへのインタビューの後編です。
前編では、セクテル結成のきっかけや、活動内容について紹介しました。
前編を読む
セクテルのメンバー紹介
目次
ーー前編で「イベントに参加してたくさんの人との出会いがあった」と言っていましたが、どのような人たちとの出会いがありましたか?
瀬戸さん
いろいろな出会いが僕たちの活動につながっています。
たとえば、僕たちは痴漢防止キーホルダー「チカキー」を制作・販売しています。
痴漢対策には防犯ブザーや痴漢を知らせるアプリなどの使用があげられますが、それらは被害者である女性だけに対策を求めています。
それに疑問を感じた僕たちは「痴漢行為を起こさせない安心できる環境づくりに、女性だけでなく男性も貢献できるグッズをつくろう!」と考えました。
そこで、イベントに参加した際に出会ったPee Chick Paa(ピーチクパー)というデザイナーユニットのお2人に相談したところ、「社会問題をデザインで解決したい!」と共感してくれて、アイデアを出すところから協力してくれました。それも無償で!
福田さん
デザインには時間をかけました。
最初は高校生を対象としたデザインにしようと考えましたが、話し合いを重ねるうちに幅広い人たちに届けたいと思うようになり、子どもから大人まで身につけられるようなデザインに仕上げました。
このキーホルダーのイラストの意味がわかりますか?
これは、「周囲から見えないように腕組みをして指先でさわってくる」という、意外と知られていない痴漢行為の手口をキャラクター化したものです。
あえて一目見ただけではわからないようにして、「これ、なんだろう?」と考えてもらうしかけです。
台紙にメッセージを書きましたので、ぜひ読んでみてください。
「このチカキーは電車で手を伸ばして触ろうとしてくるわるーいやつがいるってことを知って欲しくてまねっこしているよ」
瀬戸さん
電車通学する生徒さんが多く、かつ、「このキーホルダーを生徒に届けたい!」という意思のある学校を対象に無償で配布したいとも考えていたので、クラウドファンディングで制作資金を募りました。
電車内で中高生に身につけてもらえれば、同じ電車に乗り合わせた人の目にとまりますよね。
誰しも被害者にも加害者にもなりうると思うので、身につける中高生のみなさんにも、キーホルダーを見た人にも、痴漢防止に関心をもってもらいたいです。
本久さん
ほかにも、イベントで知り合ったラジオパーソナリティの小室友里さんにお誘いいただき、月に一度、3分間ほどですが、ラジオ番組へも出演させていただいています。
ぜひ聴いてみてください!
ーー性教育をテーマに活動していますが、友人や家族からはどのような反応がありましたか? また、活動を始める前と後を比べて、自分自身の変化を感じていますか?
本久さん
周りには何も言われませんでしたね。
友だちには「お前が性教育とかやんの?」みたいに思われていたかもしれないですけど。
僕の親は、なぜか僕じゃなくて真明空のことを褒めてました(笑)
「目のつけどころがいい」って。
僕自身は、より意識が高まった気がします!
瀬戸さん
たしかに、心の中では「こいつら変なことやってんな」って思われていたかもしれない。
でも、思春期ですから、男子は少なからず性教育に興味はあるようで、友だちが質問してくれるのがうれしかったです。
いろいろなことに気がつけるようになった、感度を上げることができたことは、僕の財産です。
福田さん
親はサポートしてくれました。
公文国際学園は生徒がいろいろな活動をしているので、恵まれている環境だと思います。
他の学校では同じようにできるのかな?
「性教育というハードルが高いテーマで活動できるなら、他のこともできるんじゃないか」と自信につながりました。
ーー最後に、卒業後のことと、セクテルの今後について教えてください。
瀬戸さん
僕はアメリカの大学でEngineering and scienceを学びながら、大学の性教育プログラムを受けたりローカルな性教育にかかわったりしたいです。
本久さん
僕はマレーシアの大学でエンターテインメントビジネスについて学んで、大好きなアニメの業界をサポートしたいと思っています。
性教育はひとりが一生をかけても探究し尽くせない分野だと思うので……今後どうかかわっていくのかは悩みますね。
福田さん
僕はカナダの大学で国際関係学を学ぼうと思っています。
セクテルはどうにかして残したいよね。
高校生の「目線」を大切にしたいので、興味をもってくれる後輩に引き継ぎたいです。
瀬戸さん
日本の性教育ほど未開発なものないと感じているので、逆にチャンスを感じています。
自分が性教育について発信することで、世の中にいい影響を与えられる、改革を起こせる、そんなふうに思っています。
本久さん
真明空はすごいこと考えてるなぁ。
一同
(笑)
最後に、セクテルのみなさんに教えていただいた、性教育について知ることができるウェブサイトを紹介します。
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性教育WEBメディア「セイシル」 | ピルモット – あなたのからだに、自由な選択を | I LADY. 〜Do You Lady?〜 |
いかがでしたでしょうか。
本記事で、性教育に取り組むみなさんをエンパワメントできればと思います。
教育図書NEWSでは、今後もさまざまな性教育の取り組みを発信していきたいと考えています。
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