教科書に漫才コンテンツ掲載(インタビュー&授業案)

教育図書は、令和8年度教科書として「公共」「政治・経済」の2冊を発行します。「公共」は新訂版として進化し、鈴木寛氏総監修で新たに「政治・経済」にも参入しました。

教科書には、生徒一人ひとりが課題を自分ごととして考えやすくなるよう、学びを深めるさまざまな仕掛けが施されています。注目は、教科書の二次元コードをスキャンすると視聴できる漫才動画コンテンツ。「公共」では学びの節目に7カ所、「政治・経済」では学習の導入となるPrologueの場所に14カ所、オリジナル漫才動画が視聴できる二次元コードを設置しています。今回は、漫才動画を導入するに至った経緯や、「笑って終わり」にならない漫才を使った授業アイデアをご紹介します。

 

令和8年度教科書「公共006-091」「政経006-091」

「公共」は7カ所、「政治・経済」はPrologueの14カ所にある二次元コードをスキャンすると、漫才動画が視聴できます。

インタビュー 漫才動画のねらい

動画では、総勢9組のタレントさんたちが、教科書で学ぶ内容をオリジナルの漫才ネタにして披露してくれます。
実は、漫才動画の発案者は株式会社宙空の森本茂樹さん森本さんはかつて「M-1グランプリ」「ザ・ドキュメンタリー」などの人気番組も手がけたプロデューサーです。教科書に漫才を導入することのことで得られる効果、面白さのポイントなどをインタビューで語っていただきました。

※漫才動画は教科書特設サイトからダイジェストがご覧いただけます。

漫才を使った授業アイデア

それでは、漫才は実際の公民科授業でどう使えるのでしょうか。教科書監修者であり、この春から開智国際大学「探究と公共の未来ラボ」で探究型教育の指導を行う倉石寛氏金井文宏氏から授業アイデアをいただきました。

Q. どのタイミングで動画を見る?
導入部でクラスのみんなで視聴して、笑いを共有して授業に入るのが一番いいと思います。振り返りで見て感想を書いてもらうのもいいですね。

Q. 学習にどうつなげる?
せっかく教室が温まったのに、そのあとすぐに課題をロジカルシンキングで論じるというのはいただけません。教員が漫才の続きをやるような感じで、共感を呼ぶようなアクション(たとえば「彼は何を言いたかったのかな?」とたずねてみるなど)が必要かと思います。
まずは共感や感想を通して自分事として感じるところから始めて、意見交換し、論点になるところが見つかったら、そこから課題学習に入って資料等を見るのがいいのではないでしょうか。

Q. 漫才を使った授業はできる?
たとえば、導入で漫才を見て、授業が終わったあと、漫才の続きの台本を考えてもらうのはどうでしょうか。そして次の授業で面白いものを選び、プレゼンしてもらいます
良い問いや風刺は広がりがあるため、欲張らず、知識面では簡潔を心がけましょう。中身が魅力的なほどそちらに関心がいくので、考えたいものとつなぐ作業が必要です。この場合、自分が話者になる、次の突っ込みを考えてもらうなどの方法がその助けとなります。対話的授業が試されるので、取り組む意義は大きいでしょう。

 


教科書には、このほかにも学びの入口から振り返りまで、楽しく学んで思考を深められる仕掛けが満載です。令和8年度教科書「公共」「政治・経済」は、教育図書ニュースでも引き続きご紹介していきます。どうぞお楽しみに!