考える公民科、その先へ! 「新訂版 公共」

高校公民


“ 考える公民科 ”として誕生した教育図書の「公共」は令和8年、「新訂版 高等学校 公共」として新しくなります。
監修は東京大学の鈴木寛氏、開知国際大学の倉石寛氏金井文宏氏ほか16名。先生と生徒がともに考え、対話を通して多様な視点に出会うことを願ってつくられた「公共」教科書のご紹介です。

令和8年度教科書「公共006-091」

知識と課題を接続させるテーマ学習

「公共」では、現実の課題を自分ごととして捉え、仲間と意見を交わしながら解説策をつくっていくような、対話的・相互的な学びが求められます。

その狙いを実現するため、教科書は知識習得のページと社会課題を考える「テーマ学習」のページが交互に現れるように構成しています。この配置により、習得した知識が社会的な文脈でどのように活用できるのか、具体的な事例で確かめながら学ぶことができます。対話型学習のアウトプットによって、さらに理解は深まります。

テーマ学習では、ジレンマを生じる「問い」を起点に社会課題を多角的に考察します。令和8年の新訂版に際し、約半分のテーマ学習は内容を刷新しました。内容は旧版で実施した採択校へのアンケートで人気の高かったテーマ、必ず理解させたいテーマなどを元に再検討し、最後には公共哲学、政治、経済など教科書で学んだ分野を貫く総合テーマとして「少子化」を取り上げました。
※テーマ学習の詳細は後続記事でもご紹介予定です!

▲知識ページ  新訂版では用語を拡充し、最新の研究も反映しました。(画像クリックで拡大)


▲知識ページに続くテーマ学習ページ 現実社会に対する「問い」を軸に課題を検討します。(画像クリックで拡大)


テーマ学習末尾の「OPINION」では、Webページから自分の意見を書き込みPDF ファイルにすることができます。授業で得た多様な視点を踏まえ、ここで自分の考えを整理します。普段から文章で説明する練習になり、小論文でも力を発揮します。

●テーマ学習一覧 「忘れられる権利」は認められるべきか? / 男女平等は法で実現できるか?/子どもの過ちは親の責任か?★ / 刑罰は何のためにあるのか?★ / 日本の若者の投票率はなぜ低いのか? / インターネットは新しい民主主義をつくれるか?★ / 「国民投票」は本当にベストな方法か? / イスラエル・パレスチナ紛争は、解決できるか?★ / 市民には防衛の義務があるのか?★ / 東アジアの平和のために何が必要か?★ / 憲法前文から考える国際社会の中の日本 / AI の進化は仕事をどう変えるか? / 都会で働くか、地方で働くか? / メンバーシップ型か、ジョブ型か? / 入社した会社がブラック企業だったら?★ / コンサートチケットの高額転売は防げるか? / 国の「豊かさ」をどう測るべきか?★ / 投資家にとっての「よい企業」とは?(前編・後編)/ 小学校・中学校に給食は必要か? / 保育所は民営化すべきか?★ / SDGs を達成するための資金をどうまかなうか?★ / 少子化をどう改善すべきか?★ (★は新訂版で新たに設定したテーマ学習です)

SIMULATIONで声を届ける

新訂版で新たに登場するSIMULATION(シミュレーション) は、思考し検討する学習から一歩進み、仲間と協働して課題解決のために声を上げ、行動する練習を行います。シミュレーションは「模擬裁判」「ルールメイキング」「起業」の3つを用意しています。

▲ SIMULATION「ルールメイキングをしよう!」「起業してみよう!」(画像クリックで拡大)
 
たとえば、経済分野のシミュレーションでは、ビジネスを立ち上げるという疑似体験を通して、アントレプレナーシップ(起業家精神)を育みます。素朴なアイデアを出発点に商品やサービスを企画し、実現のために必要な資源や資金をどうやって調達するのかを考えながら、形にしていきます。課題を見つける力、仲間を集める力、自分の考えを社会に向けて発信する力など、さまざまな力が身につきます。

「SIMULATION 起業してみよう!」は、高校時代にビジネスを立ち上げた長塚翔吾さんのインタビューも読むことができます。人脈も経験もなかった高校生が、どのように夢を実現していったのでしょうか。長塚さんの体験が高校生たちに勇気を与えてくれることを願っています。
※模擬裁判、ルールメイキングについては、後続の法分野解説記事でご紹介予定です!

学びの入り口は広く、楽しく

教育図書の教科書には、生徒が自ら教科書を開き、社会課題を自分ごととして考えたくなる工夫がたくさん施されています。デジタルコンテンツで登場する漫才動画のほか、マンガページやイラストもその一つです。
学びの導入はできるだけ柔軟に、生徒一人ひとりの「もっと知りたい」「誰かに伝えたい」といった意欲を引き出します。関心が高まったあとは、興味に導かれるまま課題学習に進みます。学びの楽しさに目覚め、積極的に思考を深めていける、新スタイルの教科書です。

学習の区切りに登場するマンガページは、新訂版にあわせて全て刷新しました。マンガでは、常識にとらわれない宇宙人が日常を斜めに見ながら素朴な疑問を浮かび上がらせます。見開き右側には、マンガから発展した問いを掲載しています。
イラストは抽象概念を整理する際に効果的です。イメージしにくい内容は記号的なイラストで表現し、直感での理解を促します。
マンガ:田中光、イラスト:田中正人(MORNING GARDEN INC.)

「違い」がエンジンとなる制作チーム

総監修の鈴木寛氏を筆頭に、学問や業界の枠を越えた研究者、教員たちが集結しました。分野横断で意見を交わしたことによってテーマにも思いがけない切り口が加わり、新訂版はより立体的な内容となりました。


令和8年度教科書「新訂版 高等学校 公共」(公共006-901)の中身は引き続き教育図書ニュースでご紹介していきます。どうぞお楽しみに!

著者

鈴木 寛(すずき かん)
東京大学公共政策大学院教授。1964年兵庫県生まれ。東京大学法学部卒業。通商産業省、慶應義塾大学助教授を経て参議院議員(12年間)。文部科学副大臣(2期)、文部科学大臣補佐官(4期)などを歴任。教育、医療、スポーツ、文化、科学技術イノベーションに関する政策づくりや各種プロデュースを中心に活動。1995年から続く私塾「すずかんゼミ」では多数のIT・メディアベンチャー、社会起業家、アーティストなどを輩出している。

倉石 寛(くらいし ひろし)
開知国際大学客員教授。長野県生まれ。1971年大学紛争のさなか東大文学部を卒業。1971年から2010年まで灘中高等学校・日本史教諭、教頭。2011年から2015年まで立命館大学総長招聘教授・教育センター長を経て2025年より現職。

金井 文宏(かない ふみひろ)
開知国際大学客員教授。兵庫県生まれ。1976年東京大学教育学部を卒業。兵庫県立長田高校等で公民科担当。1992年都市文化研究所代表、大阪市で教育文化・環境・防災のまちづくりに参画。2015年立命館大学稲盛経営哲学研究センター客員教授、JALフィロソフィ教育を研究。滋賀県社会教育委員会議長を経て2025年より現職。

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