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新型コロナウイルスの影響で学校の授業は大きな影響を受けています。なかでも家庭科の調理実習は感染リスクが高く、多くの学校で授業を見合わせているのが実情です。
そんな中、万全の感染症対策を施し、さまざまな工夫を凝らし調理実習の実践に取り組んでいる京都府立洛北高等学校・京都府立洛北高等学校附属中学校の竝川幸子先生の授業をレポートします。
目次
「実習はできるのでしょうか・・」新型コロナウイルス感染症の影響は、家庭科教育にも大きな影を落としました。しかし、調理実習や被服製作は、生徒の興味・関心を高める上で必要不可欠なもの。何としても実施したいという思いから、様々な配慮や工夫をして取り組んだ6月・7月の「食に関する授業」について、紹介したいと思います。
まず、文部科学省等から示された新型コロナウイルス感染症対策について、特に次の項目に着目し配慮しました。(手洗いや身支度の徹底などは、これまでも行っています)
◆マスクの着用や共有の教材、教具、機器、設備などを適切に消毒するとともに常時換気する
◆共用の教材、教具、機器や設備などを触る前後で手洗い・除菌行為を徹底する
◆実習においては教員・生徒同士の接触を極力避け、個人で使用する材料や道具の配布及び回収は生徒個人が行う
◆生徒同士の距離を可能な限り確保(概ね1~2メートル)し、対面とならないよう配置する
◆空間を分割した少人数での活動を行う
これらを徹底したうえで、次にような授業を行いました。
通常行っている授業は次のようなものです。
道明寺粉(どうみょうじこ)4班分を熱する→蒸す→4分割する→各班で5等分にする→1人1個しそ餅の形にする。扱いやすい分量で実習するため、グループ実習が不可欠です。
今回は、既製の「しそ餅」を昼休みに教室で配付、生徒は昼食後のデザートとして試食します。5限目教室で「しそ餅」の作り方を説明。しそ餅の感想を聞くと共におやつの意義等について学習しました。
生徒の食事中、使い切りタイプの手袋をしてしそ餅を配付。
個別包装したしそ餅
5時限目、家庭科経営室でスクリーンを使って作り方を説明。
ボトルの上にカメラを設置作業内容がスクリーン映る。
様子を見つつ手伝う生徒たち。
手元を映すカメラとスクリーンを使うことで、作業内容がよく分かり、しそ餅を作る工程が理解しやすくなりました。この授業を元に家庭でも作ることができます。
通常の授業では、お弁当「いわしの手開き(照り焼き)・切り干し大根の煮物・万願寺唐辛子の炒め煮」を2時間連続授業で実施しています。
今回は、家庭経営室で40人全員に作り方を説明。
その後クラスを2分割して(奇数・偶数)一方はその場で課題に取り組み、もう一方は調理室で「切り干し大根の煮物」を35分程度でひとりで作ります。そして、容器に詰めて教室へ持ち帰り、昼食時に試食します。これを2週続けて行いました。
まずはお手本をスクリーンを使って示し、全体の工程を見せます。
野菜の切り方を示範中。
ひとりで作らないといけないので、生徒たちは真剣に視聴している。
生徒が使う食材や調理器具は、コロナ対策のために万全の準備を整えました。
調理で使う容器等はすべて台所用洗剤で洗浄し、自然乾燥。
布巾は使わずペーパータオルで。スポンジは1人1つずつ使用色の異なる物を用意。台所用洗剤は新型コロナウイルス対策対応の物に。
食材などは手袋をして準備。
対面にならないよう1台に2人が作業。鍋は区別がつくように2種類用意し、軽量スプーンも各自のものを用意。
では、いよいよ調理を始めていきます。
丁寧に手を洗ったあと、まず、まな板などの調理器具を台所用洗剤で洗う。すすぎは湯を使うよう指示。
横に並んで野菜を切る。火を使うときも、なるべく互いに離れて行うよう指示。
味見のためにマスクをはずして。
切り干し大根の煮物1人分の完成!昼食時に自分で試食します。互いに味見したり教員が試食して評価できないのは残念。
後片付けも丁寧に洗剤で洗浄後、ペーパータオルで拭く。
一方、クラスのもう半分の生徒は教室で別の課題に取り組んでいます。次週はこのグループが調理実習を行います。
調理室と家庭経営室が廊下を挟んで隣の教室になるため、課題に取り組む生徒の様子もよくわかります。また、学年の先生に「ひとりクッキング」の取り組みについて説明し、生徒の状況を見てもらうよう協力要請もしました。
時間配分は調理実習に35分、残りの10分で調理実習について振り返ります。
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いかがでしたでしょうか。新型コロナウイルス感染症対策をしっかり施し、必要な調理実習授業を生徒たちに授けたいという竝川先生の並々ならぬ思いが伝わってきます。ぜひ参考にしてみてください。
後編ではより本格的な高校での調理実習をお届けします。
コロナ禍のなかで家庭科の調理実習をどう実践するか?高校編