私たち教育図書株式会社は、中学校・高校の教科書や教材を出版している会社です。 教育図書NEWSは主に学校の先生や教職関係者のみなさまに向けて、教育に関する独自の記事を発信しています。すべて無料でご利用いただけます。
成年年齢の引き下げから2年が経とうとしている現在、家庭科における「おとな」に関する教育の重要性はより大きくなってきています。そんな中、高校の先生方から、「家庭科で学んだことを卒業後も生かせるような教材がほしい。」という声が多く寄せられていました。
ただ、教科書では、高校卒業後を見据えた内容に直結するためぜひ扱いたいものの、検定教科書の中でできることには限界がある…というジレンマがあり、「卒業後の生活について、家庭科の時間で楽しく取り組めるものをつくれないか…」と考えていました。
今回、満を持して、高校卒業後の「おとな」としての生活にも直接役立つ実践的な知識を、家庭科の学習と関連付けながら学べる副教材として、令和6年1月末に「ひとり暮らしドリル」を発行しました。
このドリルの魅力や力を入れたポイントなどを、2回に分けてご紹介します!
①ひとり暮らしドリル 事前アンケートの結果
ひとり暮らしドリルの発行にあたり、家庭科の先生方にアンケートをさせていただきました。ご協力いただきました先生方には、心より感謝申し上げます。一部ですが、結果を公開します。
②ひとり暮らしに関する学習で扱ってほしい内容
先生方が特に重視されていたのが「お金」や「消費者トラブル」で、次いで「住まい」という結果になりました。また、それぞれ、以下のような内容を扱ってほしいというご要望をいただきました。
・住まい → 物件選びの基礎知識、住まいのルールやトラブル
・お金 → 生活費の支払い、家計管理
・消費者トラブル → 闇バイト・詐欺などの回避方法
・食 → 外食やコンビニ弁当の落とし穴、献立と栄養素
・その他 → 服に合った洗濯の仕方、困った時の相談先、社会保障など
③ひとり暮らしドリルをどのタイミングで使いたいか?
「3学期末の家庭科授業のまとめ」や「消費生活」などの授業のほか、「長期休みの課題」として取り組むというご意見もいただきました。
先生方からいただいたご意見を、24ページの中で目一杯実現しました!
ひとり暮らしドリルは、高校卒業後の生活で「おとな」として身につけたい内容を網羅しつつ、家庭科の学習内容とも密接に関連づけているため、特に家庭科学習のまとめの副教材としてご活用いただけます。各章の内容をご紹介します!
目次
1章では、住生活の「間取り図などの物件情報から自分に合った部屋を考える」「居住のルールを知って、安全・快適に暮らす」という内容をメインテーマに展開しています。
生徒自身が住んでみたい物件の条件をイメージしてから、実際の物件情報を見て考える学習ができます。漫画からは、「物件の広告だけ見て、しっかり下見をしないと痛い目に遭う」という教訓を生徒の皆さんに感じ取ってもらえたらうれしいです。
解説では、物件情報に記載されている用語や、トラブルへの対処法などの基礎知識がまとめられています。解説のP4に掲載している間取りは、「部屋の移動がしづらい」「窓が少なく換気がしづらい」「収納がない」など、暮らしづらいポイントが散りばめられているので、生徒の皆さんには「この間取りのどこが問題か」を探しながら読んでもらいたいです。
また、これは教科書には書けない小ネタなのですが、「激安物件の畳が腐ってナメクジがわいた」という、筆者の恥ずかしいエピソードも紹介しています、ぜひ授業で笑い話としてご紹介ください(笑)
2章では、経済計画の「収入・支出」や「商品の購入」などの内容をふり返ることができます。
ひとり暮らしの収入・支出については、教科書やほかのドリルシリーズとは異なり、実際の大学生の収支データをもとに、生徒自身が仕送り以外の収入源について考えられるように工夫しました。
また、Q1では、アルバイトをした場合の収入だけでなく、どれくらいお金を稼いだら社会保障・税金の対象になるのかという、おとなとして知っておきたい内容も盛り込みました。
3章では、消費生活の「悪質商法への対応」などについて、より実践的な内容から学ぶことができます。
Q1の内容は、家庭科以外の内容にも関連するのですが、若者をターゲットにした闇バイトの被害は目にあまるものがあり、先生方から多くのご要望をいただいたことから、重要テーマとして扱いました。漫画の内容ともリンクしているので、読み進めながら、生徒の皆さんには自分ごととして考えていってもらえたらうれしいです。
また、Q3では、ネット通販詐欺を見極める設問を入れました。サイトの画面を見ながら、怪しいと思うポイントを探していきます。一目でわかる点や、サイト全体を見比べる必要がわかる点など、合計9つのポイントがあるので、授業で使用される際はぜひ、生徒同士で話し合いながら探してみてください。
以上です。
第二回では、ドリルの後半のポイントについて解説しますので、お楽しみに!