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家庭科 NEWS

先生!家庭科でデジタルコンテンツをどう使ってますか?〈第1回〉

 

小・中学校への「GIGAスクール構想」の推進により、高校でもデジタル端末(パソコンやタブレットなど)やネットワーク環境の整備、ICT支援員の方々の配置などが進んでいます。
デジタル端末については80%以上の高校で整備済みともいわれており、文部科学省の調査では令和6(2024)年度に全国の公立高校の端末の整備が完了する予定としています(高等学校における1人1台端末の環境整備について:文部科学省)。

家庭科においても、動画などの学習支援コンテンツや、課題提出や発表などに授業・学習を支援するアプリケーションなどを、すでにご活用されている先生はいらっしゃいます。
一方で、「授業でのICT活用をゼロから始めたい」「短時間で手軽にできるデジタル教材を授業に取り入れたい」とこれからのご活用を考えている先生もいらっしゃるのではないでしょうか。

そのような先生方の声を受けとめ、教育図書からデジタルコンテンツがついた2つの高校家庭科の資料集をご提案します。

 

『家庭科55デジタル+』と『LIFEおとなガイドデジタル+』

 

 

令和5年度から発行・供給の『家庭科55デジタル+』と、令和6年度から発行・供給予定の『LIFEおとなガイドデジタル+』には、紙面と連動したデジタルコンテンツが多数ついています。

『家庭科55デジタル+』は「見て、わかって、おもしろい!」をコンセプトに、先生が生徒に教えたい内容をコンパクトにまとめました。
『LIFEおとなガイドデジタル+』は「おとなになるための人生のガイドブック」をコンセプトに、生徒も知っておいてほしい家庭科の情報がたくさん詰まっています。

デジタルコンテンツはURLもしくは二次元コードから簡単にアクセスでき、動画はもちろんのこと、シミュレーションやチャットボットなどの多彩なコンテンツをすぐに体験できます。
また、デジタルコンテンツを体験した結果と入力した感想は、ワンクリック/ワンタップでPDF形式ファイルとして生徒の端末へダウンロードされます。

PDFを生徒から先生へ提出すれば、評価へつなげることもできます。

 

デジタルコンテンツはこちらからアクセスできます。
ぜひ「FREE」のコンテンツをお試しください!

 

では、実際の授業ではどのようにデジタルコンテンツが活用され、先生はどのようなメリットを感じているのでしょうか?
今回から3回にわたり、デジタルコンテンツの活用事例をご紹介します。

第1回は、静岡県静岡市の常葉大学附属橘高等学校の西村美名子先生に教えていただきました。

 


 

学校紹介

 

常葉大学附属橘高等学校では、1年生で家庭基礎を学習します。
当校では全教室にWi-Fiを完備し、生徒用デジタル端末としてiPadを導入しています。

 

使用したページとデジタルコンテンツ

 

今回紹介する授業では、『家庭科55デジタル+』のP36〜37「17 みんなで支えよう!認知症」を使用しました。

 

このページでは、認知症の症状、認知症をわずらう本人やその家族・介護者が抱えている困難、認知症をわずらう人へのサポートについて知り、自分にはどのようなことができるのかを生徒に考えてもらうためのページになっています。
(編集部)

 

デジタルコンテンツは、本ページに掲載のデジタルWORK「認知症の人にどう接する?」を体験しました。

 

 

このコンテンツは、認知症の高齢者にどのように寄り添うかを考える、全5問で構成された三択問題です。

3つの接し方の選択肢の中から1つから選ぶと、0点/3点/5点で採点され、解説が表示されます。

最後に、25点中何点をとることができたか、結果が表示されます。

このデジタルコンテンツは、担当編集が「認知症サポーター養成講座」を受講した経験を元に制作した一作です。

 

認知症の症状例として、徘徊する、季節感がわからなくなり服選びが苦手になる、自分の居場所がわからなくなる、物を盗まれたと思い込むなどがあげられます。

たとえば、資源ごみの収集日を覚えられない、もしくは忘れてしまった認知症の高齢者に対して
①口頭で資源ごみの収集日を教える
②資源ごみの収集日を紙に書いて渡す
③「今度の資源ごみの収集日に声をかけますね」と伝える
の3つのうち、あなたならどの接し方ができそうでしょうか?

 

ぜひ、実際のデジタルコンテンツを体験してください!

 

(編集部)

 

指導計画と評価基準

単元「共生社会における地域や家族」(4時間)
リスクに備える(1時間)
高齢者と子育てへの社会的支援(2時間)
共生社会に向けて(1時間)…本時

 

知識・理解 社会における認知症の現状を知る。認知症の特徴を学ぶ。
思考・判断 知っていた事が不十分であり、社会の中に誤解や偏見があることに気づく。
主体的態度 自分にも高齢者を支える事ができると考え、主体的な行動に移す。具体例を答えられる。

 

授業の展開例

 

まず、5分間の導入で「認知症」について知っているかを生徒たちに聞いてみました。
多くの生徒は、「認知症」という言葉は知っているものの、認知症をわずらう人とかかわることには躊躇している印象でした。

 

次に、10分間の展開として『家庭科55デジタル+』P36を読み、認知症のをわずらう本人とその家族・介護者を取り巻く課題を発見させました。
生徒たちは、認知症による行方不明者数の多さや、70%以上の介護者がストレスを抱えていることなどから、現状の深刻さを知らされたようでした。

 

そのあとの30分間の発展として、デジタルWORK「認知症の人にどう接する?」を体験しました。
生徒一人ひとりの話を聞きながら、じっくり時間をかけて取り組みました。

まず、設問の文章を読み、認知症をわずらう人がどのような状況に置かれているのかを確認し、①〜③の選択肢の中からどれを選ぶかを生徒に聞きます。
次に、選んだ選択肢をタップして点数を確認させてから、もう一度生徒に話を聞きます。
知識不足により認知症に対して誤解をしていた、と生徒たちからの反応がありました。

 

最後に5分間のまとめとして、デジタルWORKに取り組む前と後で、どのように意識が変わったかを生徒たちに書いてもらいました。
「高齢者の尊厳を大切にしながら、寄り添うための心構えがわかった」
「自分の家族が認知症になってしまっても、できるだけ支えたい」
「地域に住む高齢者に気を配っていきたい」
など感想のから、生徒たちの意識の変化が感じられました。

 

先生の感想

 

ちょうど授業の数日前に、本校の生徒が徘徊してうずくまっていた高齢者を交番へ送り届けたというエピソードがあり、生徒たちは「自分のすぐ近くでも認知症の高齢者が生活している」ということを実感したようです。

そのときすぐ、このデジタルコンテンツを活用して、多様な人たちと同じ社会で共生しているということにより関心をもってもらいたいと思いました。

個人で取り組ませるより、クラス全員でクイズに答えたり解説を読んだりすることで、とても授業が盛り上がり、深い学習ができたと感じます。

 


 

西村先生、ありがとうございました!

 

『LIFEおとなガイドデジタル+』

定価:990円(本体900円)
コード番号:1047190
判型:AB判
ページ数:392ページ+口絵

 

『家庭科55デジタル+』

定価:721円(本体655円)
コード番号:1047170-01
判型:AB判
ページ数:208ページ

 

教育図書の資料集の採択をご検討の先生は
営業部へお気軽にお問い合わせください!

電話:03-3233-9100

FAX:03-3233-9104

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次回をお楽しみに!

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