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高校卒業後、進学・就職のタイミングに併せてやってくる人生の一大イベントといえば、ひとり暮らしです。
では、高校生のみなさんは、ひとり暮らしについてどのように考えているのでしょうか?
2022年にZ世代を対象とした住まいに関する意識調査では、「部屋の重視点における本人と親の違い」について、親が「防犯設備(29.0%)」や「周辺の治安の良さ(26.5%)」を重視しているのに対し、本人はそれぞれ20.5%と18.5%という結果となっていました(ちなみに、本人が重視しているのは「家賃(70.0%)」、「間取り(44.0%)」、「部屋の広さ(36.5%)」などでした)。
Z世代の住まいに関する意識調査|株式会社SHIBUYA109エンタテイメントのプレスリリース
動画投稿サイトのインフルエンサーによるルームツアー動画や、SNSで流れてくる「映える」お部屋紹介など、眺めているとひとり暮らしへの夢が広がりますが、住まいにとって大切なことは、安定・安心・安全、そして快適に暮らせることではないでしょうか。
今回は、高校家庭科資料集『家庭科55デジタル+』と『LIFEおとなガイドデジタル+』についている、物件選びをシミュレーションできるデジタルコンテンツの活用事例をご紹介します。
本連載第2回は、栃木県那須烏山市の栃木県立烏山高等学校の國嶋昭子先生に教えていただきました。
↓第1回
先生!家庭科でデジタルコンテンツをどう使ってますか?〈第1回〉 – 教育図書
目次
烏山高等学校では、1年生で家庭基礎を学習します。
本校は、全教室にWi-Fiを完備しており、全学年でタブレット端末を整備しています。
市内で毎年7月に開催される「山あげ祭り」で上演される歌舞伎に本校の生徒が出演するなど、地域との交流を大切にしている高校です。
今回紹介する授業では、『家庭科55デジタル+』のP80〜81「高校卒業後,どんな部屋に住む?」を使用しました。
このページは、進学や就職に合わせてひとり暮らしを始める高校生のみなさんに、自分にとって住まいとはどんな場所かを考え、近い将来の住まいについてイメージをふくらませてもらうページとなっています。 具体的には、家賃・間取り・築年数・階・敷金・礼金・駅からの距離・進学先からの距離・設備などの条件が異なるA〜Eの5つの物件情報を見て、良い点と悪い点を比較したり、ご近所トラブルをどのように解決するかを考えたります。 (編集部) |
デジタルコンテンツは、本ページに掲載のデジタルWORK「部屋選びシミュレーション」を体験しました。
このコンテンツは、8つの質問に答えることで、『家庭科55デジタル+』P80〜81に掲載のA〜Eの物件のなかからおすすめ物件を紹介するシミュレーションです。
編集担当と営業担当が練りに練った一作となっています。 家賃は安いほうがいい?高くても理想の物件に住みたい? 部屋は広いほうがいい?狭くてもいい? 進学先から部屋までは近いほうがいい?遠くてもいい? 設備で重視するのは、防犯性?通信環境?家事関連? 築浅がいい?築古でもいい? 周囲の環境で優先するのは、買い物のしやすさ?静かさ?公共施設へのアクセスのしやすさ? 角部屋?中部屋? 近所付き合いはある方がいい?あまりかかわりたくない?
すべて希望通りの物件を見つけるのは難しいことです。 このコンテンツを体験することで、「物件を選ぶとき、自分だったら何を優先するだろう?」と生徒さん一人ひとりに考えていただくきっかけにしてほしいと思います。 (編集部) |
住生活 |
①住まいの機能・役割(1時間) |
②ライフスタイルと住まい(3時間) 日本の住文化の特徴 快適な住空間を考える1(デジタル平面計画を使用)…夏休みの課題として実施する 快適な住空間を考える2…本時 |
③安全な住まい(1時間) |
④衛生的な住まい(1時間) |
⑤これからの住生活(2時間) |
知識・理解 | 平面図の基本的な読み取り方について理解している。 |
思考・判断・表現 | 将来のライフステージに応じた住生活について考える。 将来の住まいの間取りを考え、物件の条件を比較し、より自分の理想に合うものを選択している。 |
主体的に学習に取り組む態度 | 自分の住生活について、課題の解決に主体的に取り組もうとしている。 自分の理想とする物件について、気づいたことや考えたことをまとめようとしている。 |
まず、5分間の導入で、夏休みの課題として教材「デジタル平面計画」を使って製作した生徒の平面図の作品を紹介しました。
次は、20分間の展開です。
まず、教科書「Survive!!」のP119の「住まいの選択をしてみよう」で、物件の見方(家賃、敷金・礼金、管理費、完成年月、部屋の向き、浴室・トイレ、沿線名・最寄駅・所要時間)を確認しました。
そのあと、副教材『家庭科55デジタル+』のP80〜81を見て、掲載されている5つの物件のなかから、生徒たちに住みたい物件を選んでもらい、選んだ理由を生徒どうしで話し合ってもらいました。
生徒たちは、物件情報を比較・検討しながら、自分の理想に近い物件を選んでいました。
15分間の発展としてデジタルWORK「部屋選びシミュレーション」を体験してもらい、最後の10分間のまとめで結果と感想を提出させました。
生徒たちのなかには、紙面を見て自分で選んだ物件と、デジタルWORKの結果の物件がかけ離れていて、驚いていた子もいました。
理想と現実の違いに生徒自身の新たな気づきが感じられ、部屋選びにおいての視野が深められたのではないかと思います。
ここで、実際の生徒の感想をいくつかご紹介します。
生徒Aさんの感想
あなたに合った物件は:B
①予想通りの結果だった?
家賃が安くて広いDの物件に住みたいと思っていたけど、まったく想定していなかったBをおすすめされた。
先日、自宅の水道管が、老朽化が原因で壊れたので、改めて考えると築年数15年のBの物件の方がいいかもしれない。
②物件を選ぶときに重視したいことは?
不法侵入や犯罪に巻き込まれるのが心配なので防犯性。
あとは、家賃。生活費は削れるところを削りたい。
◆
生徒Bさんの感想
あなたに合った物件は:C
①予想通りの結果だった?
予想通りだった。
新築なので防犯性も高いと思うし、現代の生活に合わせてつくられていると思う。
②物件を選ぶときに重視したいことは?
防犯性。近隣住民。高すぎない家賃。
◆
生徒Cさんの感想
あなたに合った物件は:C
①予想通りの結果だった?
予想とは違った。
駅や進学先に近く、3階でオートロックもついているので、利便性や防犯性を考えると自分に合っているのかもしれない。
②物件を選ぶときに重視したいことは?
通学時の利便性として公共交通機関へのアクセスと、防犯性を重視したい。
◆
生徒Dさんの感想
あなたに合った物件は:D
①予想通りの結果だった?
予想通りだった。
今後の物件選びの参考にしたい。
②物件を選ぶときに重視したいことは?
たくさん買い物をしても置く場所がある部屋の広さと、周辺の施設を重視したい。
◆
生徒Eさんの感想
あなたに合った物件は:E
①予想通りの結果だった?
私は双子の姉妹とシェアハウスに住みたいと思っていたので、予想通りだった。
一人で過ごせる部屋と、姉妹で一緒にいられる部屋の両方あり、家賃をシェアしている人と折半して4万円に抑えられるのもいい。
②物件を選ぶときに重視したいことは?
シェアするときは、部屋数を重視したい。
進学先へのアクセスのよさと防犯性も気になる。
安全面では、近くに避難できるところがあるか、危険なところはないかをチェックしたい。
◆
生徒Fさんの感想
あなたに合った物件は:E
①予想通りの結果だった?
進学先からは遠くてもOK、家賃は5万円くらいがいいと考えていたので、意外な結果だった。
家賃は8万円と高いが、シェアハウスとしていろいろな人とかかわれるのはいいかもしれない。
②物件を選ぶときに重視したいことは?
防犯や防音、設備など。
◆
生徒Gさんの感想
あなたに合った物件は:E
①予想通りの結果だった?
予想通りではなかった。
AかBに住みたかったが、「ほかの住人との関係は?」という質問に「近い方がよい」と答えたので、Eをおすすめされたのかもしれない。
最寄駅や進学先からの距離、角部屋、築年数などの希望条件は満たされていた。
②物件を選ぶときに重視したいことは?
家事関係の設備がしっかりしている物件がいい。
ベランダに洗濯機を設置するのは嫌だ。
まず、夏休みの課題として将来住みたい家の平面図を製作させることで、平面図を読み取れるようにしました。
そこからさらに住まいを選択する力をつけるために、このデジタルコンテンツを活用しました。
進学を希望する生徒が多いクラスということもあり、ひとり暮らしを始めるときの物件選びに現実感をもたせる学習として、有効だったのではないかと思います。
國嶋先生、ありがとうございました!
『LIFEおとなガイドデジタル+』
定価:990円(本体900円)
コード番号:1047190
判型:AB判
ページ数:392ページ+口絵
『家庭科55デジタル+』
定価:721円(本体655円)
コード番号:1047170-01
判型:AB判
ページ数:208ページ
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